July 18, 2010
インキー。
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僕の車の鍵。
キーレスエントリーって言うらしいのだけど、
鍵を差し込まなくてもボタンで開錠・施錠ができる。
最近の車なら一般的な装備。
で、更に僕の鍵は設定によって、鍵を持って車に近づいたら開錠し、鍵を持って離れると施錠するという未来のような機能を備えている。
開錠のときに「ピーピピ」、施錠のときは「ピッ」って電子音が鳴る。


設定した覚えはないのだけど、僕の鍵はこの「未来機能」になっているので、自動的にドアが開閉する。
荷物を運び出したりするとき、両手が埋まっていたりしたら便利というね。


ところがこの機能。
思わぬタイミングで反応する。
鍵をどのくらい近づけたら開錠し、どのくらい離したら施錠するのか、そのルールが定まっていないのだ。
いざ荷物を車に積もうとした際、突如施錠したりして困らしてくれるときもある。




という前置きがありまして。




劇団事務所にて。
一人、車から荷物を出して運ぶ。
特に何も考えず、運転席に鍵をつけたままドアを閉めた。

突如、

「ピッ!」

え? 施錠した?

運転席に鍵を残してロックが掛かった。
いわゆるインキーの状態だ。


なんで? なんでそんなことに?
普通に考えたらなるわけない。




まさかまさかの未来機能。


こうやって僕たち人間はロボットの反逆にあい、世界を支配されていくのか。


いや、言ってる場合じゃない。


携帯も財布も車の中に置いてある。
0時も回って、深夜である。
事務所に運び込む荷物だけ抱えて、僕は完全に放り出された。
丸裸。


パニック!


JAFや鍵のレスキュー隊みたいなところに連絡することもできない。
打つ手なし。





そもそも、どうして鍵は勝手に施錠したのか。

わからない。

鍵を何らかの方法で刺激してみようか。


少し考えて、僕は車の側面に立ち、一生懸命車を揺すってみた。
サスペンションの関係か、一人でも車が結構グラグラと動く。
すると、刺さりっぱなしの鍵もゆらゆらと揺れる。

幾許もせず、

「ピーピピ!」

開錠。

開いた。

かなりアナログな方法で開いた。





誰とも分かち合えないこの喜び。
そしてまた伝えにくいことこの上ない。
開錠の瞬間はもっともっとドラマチックだったのに、僕の筆力が口惜しい。


これを読んで感じたスリルや、ドキドキの5倍くらいを想像してみてください。
それくらい劇的だったの。
スリルやドキドキを得られなかった人は5倍しても0だけど、そういう方は普段からもっと感受性を豊かにお過ごしください!その方が人生ハッピーっすよ。
diary |  3:24 AM