May 30, 2013
流れんな稽古開始。
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僕のキャスティング能力は非常に高いと思う。自画自賛。
当然「当て書き」もハマる。
関西でも、自身の劇団や多様なフィールドで力をつけてくれている俳優さんがたくさんいて、
iakuのような個人ユニットにとっては大変ありがたいことだ。
その中でも今回の5名の出演者。
質が高い。
質が高いだけに、一軒さんの「待つ」演出に苦悩する姿を見るのも楽しみだ。

昨日は久しぶりに一軒さんと二人で演劇にまつわるエトセトラをたっぷり話せた。
一軒さんの演出は指示しない。語らない。
役者が台本に書き込んだ文字は、役者の思考をストップさせる。
それが答えになって、その〝正解〟を追う芝居をすると、それは予定調和なものになる。
人はもっと複雑なんだ。
曖昧な記憶、情感、思考で言葉を発するものだ。
はっきりしているのは、瞬間的に身体や精神が感じ取る意識だけ。

印象的だった一軒さんの言葉。
「役者は自分の演技を全部管理したがる。だけど、管理出来ないところをつまえていかないと豊かな時間が流れない」

俳優は大変だ。
指示はされない。だから自分の中で何かを決めて演技に挑む。だけど決めた演技は豊かじゃない。濃密な時間が生まれるまで繰り返しやるだけ。

この演出。戯曲が生々しくないと成立しない。
幸い、僕が書くセリフは「人間の言葉」だ。と自負している。
俳優が簡単に扱えない、演出家が濃密な時間を見つけられる、そんなセリフを書きたい。
その上で小難しくないものを。
複雑な要素が盛り込まれた上で、きちんと構成された戯曲にする。上質な大人のエンターテイメントに。

「流れんな」はきっと濃厚な作品になりますよ。
diary |  9:38 AM