May 29, 2016
ドキュメンタリー映画「わたしたちに許された特別な時間の終わり」の監督で、チェルフィッチュの俳優でもある太田信吾さんに、今回の舞台「エダニク」を撮影・編集してもらうことになりました。昨年のカトリ企画との合同公演(iakuは岸田國士「葉桜」を原案にした「あたしら葉桜」を上演)で知り合い、その後「エダニク」や「人の気も知らないで」の戯曲を読んでiakuに興味を示してくれたので、ここぞとばかりに依頼しました。
ドキュメントを撮る映像屋さんで、かつ演劇畑にも籍を置いているということで、どんな風に舞台を撮影してくれるのか楽しみです。
本番期間中、会場にて予約販売いたします(価格未定)。
diary |  19:13 PM
May 26, 2016
今週月曜。
なかなか樹海から抜け出せない役者陣に対して、演出の上田一軒さんから全員にメッセージが送られてきた。
許可を取って、抜粋を掲載します。


「横山台本はいつもそうだと思うんですが、このエダニクという作品はアイデンティティに関する作品なんじゃないかと考えています。アイデンティティというのは、自分が何を選択し、どういう者であろうとするのか、ということです。特に俳優には、その人物が何にこだわり、何を背負い、何を大事に思い、何に必死になっているか、何を優先しているのか、ということを考えてほしいと思います。それによって登場人物たちが、ことごとく自己の実現に失敗していく様を描きたいと思います」


一軒さんは、俳優に答えを示さない。
ヒントだけを出して、とことん考えさせる。
自分で見つけないとモノにならないと考えているのかもしれない。
みんな手練の俳優陣だけど、苦心しているようだ。
緒方さんに至っては、初演から4度目だというのに。
だけど、樹海がグワりと開ける瞬間を何度も見て来たので(ときにそれが小屋入りしてからの場当たり中だったり、本番初日だったりもするんだけど)、僕は一軒さんの演出を信頼している。

今日は初通し。
僕は別件があって通し前に稽古場を後にしたのだけど、どんな出来だったろう。
明日は東京出張。
戻って来たとき、グワッと前に進んだ稽古場でありますように。
diary |  23:27 PM
May 26, 2016
東京公演劇場入り一週間前。稽古も大詰めです。
さて、今日はiakuの稽古場のこと、ひいてはiakuが目指している演劇について書いてみます。
先日Facebookで書いた内容を厚くして、もう少し丁寧に書いてみます。

〈目的ある演技〉
稽古場で演出家は、俳優の演技に「目的」を求めます。台本の筋をとらえた上で、このシーンでは「相手に許してもらおうとする」とか、あるシーンでは「相手を服従させようとする」とか。それぞれの役にそれぞれの目的があるから、芝居上で衝突が起きます。俳優は、折り合いをつけようとしたり、我を通そうとしたり奮闘します。もちろん台本がそういう風になっているのですが、「このセリフは悲しそうに言う」とか、「ここで怒るために徐々に怒りを溜めていく」という自分勝手な演技の道筋を立てるのはNG。自分と相手との関係の中で目的が定められ、その目的達成を目指すのです。

〈目的を阻害するもの〉
ところが、目的にそぐわないセリフが台本上にはたびたび登場します。演出家は簡単にセリフを変えることを選びません。それどころか、「この人物は相手のことが好きなんじゃないですか」とか「彼は大事なことを隠しているんですよ」というような、新たな条件を提案してきます。俳優にしてみたら本来の目的がどんどん阻害されていきます。その生きにくさの中にどう存在するべきか、格闘です。

〈iakuが目指すもの〉
考えてみると、我々は日々、そういうことにまみれて生活しています。正しいと思っていることになかなか辿り着けないもどかしさとか、簡単に断言することへの疑いや恐れとか。
iakuの芝居は舞台上でそういうことが連続で起き続けて、登場人物の一挙手一投足に目が離せなくなる、ということを目指しています。

iakuの現場でよく出てくる例えですが、ある舞台の本番中、テーブルの上のコップが倒れて、水がこぼれるというアクシデントが起きたとします。観客は、キャストの対処の仕方、こぼれた水の行方を、固唾を飲んで見守ります。そんな事態と同様のことを俳優の演技で起こす。それは、即興性だったり、ハプニング性だったり、そういうことではなくて、先述した「目的の衝突」から生まれたら面白いと思うんです。それがiakuの理想です。

「エダニク」がそんな理念の元に作られていることを確認しに来ていただけたら幸いです。

diary |  1:07 AM
May 11, 2016
3年ぶり4度目の上演となる今回のエダニクは関西での上演がありません。新キャストとして、東京を中心に活動されている村上誠基さんと、大阪の匿名劇壇の福谷圭祐さんを迎えた新しいエダニクに、少しでも触れてもらう機会を設けようということで本イベントを立ち上げます。関西の皆様、ご予約お待ちしております。
 

【日時】 5月11日(水)19時30分(受付と開場は15分前)

【会場】 インディペンデントシアター1st

【料金】 1500円

【予約】 件名を「エダニク読み合わせ予約」として、お名前、枚数、連絡先(携帯電話)をinfo.iaku@gmail.comまでお送りください。

【出演】 [読み合わせ(90分)]緒方晋、村上誠基、福谷圭祐
     [トーク(30分)]横山拓也、上田一軒、出演者
 

information |  19:30 PM